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このインタビューは、仙台経済界2014年7-8月号に掲載された原稿をホームページ用に再編集したものです。

東北の別荘地40年オーナーが語る、あるべき姿とは

東北での別荘地が販売されて40年。そのさきがけともいえる宮城県蔵王町の蔵王山水苑は、多くの文化人や芸術家、知識人に支えられてきた。
別荘地の魅力やこれからのあり方を、開発者、新旧のオーナー3人が語り合った。

出席者 ※順不同

  • 竹田 亨 氏

    たけだ・とおる/1972 年仙台市生まれ。若者を中心としたファッションショップ「ワイルドウエストデイズ」を、20 年間にわたり経営。現在は、ファッションという枠を越えて、新しいライフスタイルを提案している。(株)ワイルドウエストデイズ代表取締役

  • 藤田 紀子 氏

    ふじた・のりこ/1946 年富山県高岡市生まれ。東北大学法学部卒業。1983 年仙台弁護士会副会長。東北大学法科大学院教授( 〜2010 年)、日弁連外国弁護士及び国際法律業務委員会委員。藤田総合法律事務所所長。ご主人の藤田宙靖氏は元最高裁判事、東北大学名誉教授、学士院会員

  • 相澤 国弘 氏

    あいざわ・くにひろ/1972 年仙台市生まれ。(株)Nコーポレーション開発事業本部蔵王事務所所長。医療法人社団リラの会理事、㈱NSコーポレーション代表取締役、社会福祉法人芽吹評議員、みやぎ蔵王別荘協議会事務局長

苑内の出入りはゲートでチェックされる

相澤氏 蔵王が東北の別荘地となってから、約40年が経ちます。その別荘地の一つ、蔵王山水苑は、当社Nコーポレーションが開発しました。もともとクライアントにご提案したまちづくり計画を実際に行ったモデル地区として蔵王を選びました。開発当時は三越を売り主として主に関東圏のお客様に分譲してきた歴史があります。この蔵王は古くから山岳信仰で開けた場所でもあるんですが、素のままの自然と最高の温泉、果物はじめここで採れる多くの食材もあって、「ここに来ると元気になる」という方々が多いですね。
とくに震災後、みやぎ蔵王別荘協議会で行った被災者受入事業をきっかけに、このエリアは定住人口が増えてるんです。特に若いファミリー層などが、環境の良いところで子育てしたいということで移り住んでいらっしゃる。このエリアからは、小学校、中学校も近いですし、仙台や白石、大河原への通勤者も多いんです。そして福島に通勤されてる方もおいでになります。

蔵王の生活をいかに楽しむか、ばかり考えています

相澤氏 別荘での生活を教えて下さい。

藤田氏 蔵王山水苑の別荘は父が30数年前に購入し、退職後、父と母2人が移り住み、畑を作ったり陶芸や釣りなどをして楽しんでいました。私が別荘を相続して週末に私ども夫婦が利用します。
私は趣味がとても多くて、5年ほど前に隣接する土地も購入して2棟目を建て、スキーやゴルフ、テニス、音楽仲間たちと、まるで学生時代の合宿のように大勢で楽しんでます。仲間たちもこの別荘生活をとても楽しみにしていて、食事や掃除なども自然と役割分担して、私自身はまったく気をつかいません。先日も別荘を訪れたドイツ人が残雪の蔵王を見て苑内の自然環境に感激して帰りました。
ここでの生活をいかに楽しむか、このことばかり考えてる。夫は一人で利用するのが好きで、仕事を持ち込んだり、お風呂も名湯遠刈田温泉と同じ泉質の温泉に好きな時に入れますし、蔵王の豊かな自然と、鳥の声とともに静かにすごしたりしています。

名取市にあるワイルドウエストデイズ

相澤氏 蔵王山水苑には、温泉の源泉が4本あり、自然の恵みの名湯をたっぷりと味わえます。

竹田氏 私は、名取市で、ワイルドウエストデイズというアメリカ西海岸の若者のファッションをメインとしたTシャツなどのアパレルやグッズなどの販売会社を経営しています。3年前にこの蔵王山水苑を知り、何度か足を運んで、ここの自然の素晴らしさに感動し、住むことを決めました。現在内装を工事しており、苑内での生活をとても楽しみにしています。まずは週末の利用から始めようと思っています。蔵王までの道のりの景色もすごく素敵で、気に入ってます。

藤田氏 私も同じで、友人たちも別荘に来るまでの風景をとても気に入っています。ここは非常に環境が良いので、周りを気にせず楽しめるのが良いですね。プロパンガスや灯油の管理、煙突の掃除などのほかにも必要な時は部屋の掃除もお願いできるのでとても助かっています。他の別荘地と比べても使い勝手が良くて、便利と自然との兼ね合いが素晴らしいです。

相澤氏 蔵王山水苑では24時間、365日職員を配置して苑内を管理しています。出入り口はゲートでチェックし、夜も2時間ごとに巡回して、苑内の安全をお守りしています。部屋の掃除や風通しなど、手配しますし、お客さまへの状況報告も行います。オーナーが希望する使い方に合わせて楽しんでもらえるのが、ここの最大の特徴でもあるんです。芸術家や書道家、医師、法曹界、教育関係者など多くの文化人や学識者の方も多く、セキュリティーもしっかりしているので、蔵王の静かな環境で創作活動や知的活動ができると喜ばれています。

今後若者が求めるキーワードは「自然」。 新しいコンセプトの店をオープンさせたい

藤田氏 ところで竹田さんも、この蔵王の自然を気に入って別荘を購入されたそうですが、若者のカリスマのような方が、この蔵王に来られたというのは意外ですね。

相澤氏 竹田社長の名取市にある本社を訪ねたことがありますが、敷地に一歩入ると独自の世界観を形成していて、いわゆる竹田ワールドになっていますよね。

竹田氏 これからの時代は、自然がキーワードだと思ってるんです。今の若者は車も持たないですし、面倒なことには関わりたくないという風潮があります。でも本当は、様々な人と話をしたい、触れ合いたいと思っているんです。ITのおかげで情報もすぐに取れ、物質的に何もかも出尽くした中で、SNSなど実体のない付き合いなどにも疲れて、そして今後は若者の心に響くものの一つが自然だと感じています。なぜなら、実際に目に見え、その喜びを直接感じることができる実感することができるからです。
そういう意味では、若者が今求めているものが、この蔵王にあります。実は私は、この町に新しいコンセプトのショップを作りたいと思っています。別荘は店のスタッフも利用できるようにしたいですし、管理も含めグレードの高い蔵王山水苑の価値を保ってほしいですね。

生き生きと暮らせる別荘地を創り出したい

藤田氏 定住者が増えると別荘としての楽しみが保たれるかが少し心配。バランスが大事だと思う。使い方に対応した体制を考えてもらいたいなあ。ハード面ではテニスコート、室内プール、苑内にある露天風呂などの整備や医療施設との連携もお願いしたいです。

相澤氏 藤田先生がおっしゃるリゾートと医療福祉の連携と融合ですが、この地域で始まったまちづくり「蔵王福祉の森構想」に蔵王山水苑も参加しています。私どもとしては40年かけて作り上げたまちのイメージを崩さずに、医療と福祉、産業を絡め、まちおこしにどうつなげていくかが課題です。ただ別荘を利用している人たちの将来を考えると、医療と福祉は不可欠です。
震災後は若い世代の定住者が増える傾向があるので、雇用と役割の創出のマッチングも必要です。老後もこの場所で生き生きと過ごせるのが理想です。
今後も住民の方々、地元の有力企業や蔵王町と一体となって新しいまちづくりに関わり合っていきたいと思います。新しい蔵王山水苑に期待して下さい。


原稿元:株式会社仙台経済界 仙台経済界2014年7-8月号 http://www.senkey.co.jp/

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