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このインタビューは、仙台経済界2014年1-2月号に掲載された原稿をホームページ用に再編集したものです。

「蔵王福祉の森構想」が本格的にスタート 中核事業所「せせらぎのさと」(特養)が14年4月の開業決まる

「高齢者も若者も、障害のある者も無い者も、誰しもが安心して暮らせるまち蔵王」を目指し、蔵王町遠刈田小妻坂地区に建設される特別養護老人ホーム「せせらぎのさと」が13年10月に着工、14年4月に開業することが決まった。事業主体は社会福祉法人芽吹(富田正夫理事長)。この特養を皮切りに、セーフティネットの確立、役割の保証、新たなコミュニティの創造を核とする「蔵王福祉の森構想」も同時に動き出した。

2014年4月開業予定の特別養護老人ホーム せせらぎのさと蔵王 まちづくりのイメージ図

蔵王福祉の森構想のコンセプトは、「高齢者も障害者も安心して住み続けることができる豊かなまちづくり」「少子高齢社会に対応した新たな生活産業の創出」が、大きなテーマ。構想を進めている、医療法人社団リラの会の富田正夫常務理事と蔵王山水苑の相澤国弘所長は「高齢者施設単独の整備ではなく、高齢者や障害者が住みたいまちをつくり、若者や女性が安心して働くことができる場所があり、働きがいのあるまち、働くひとが住みたいまちにすることが、これからの蔵王町を活性化するにはもっとも必要なこと」と語る。つまり、高齢者・障害者福祉と雇用・産業を結び付けた、新たな地域のイノベーションでもある。蔵王町役場と遠刈田温泉のほぼ中間に当たる、県道号線沿いの82万5000平方メートルの広大な土地に展開される蔵王福祉の森構想は、2013年度から約10年をかけて、前述した3つのコンセプトを実現するためのハード、ソフト事業が次々と計画され、地域包括ケアを確立させる。具体的には、せせらぎのさとを中核施設として、訪問診療、訪問看護、訪問介護、総合相談センター、子育て支援ネットワークなどのソフト系支援システムのほか、温泉療法など蔵王リゾートに相応しい新しい医療施設、サービス付き高齢者住宅(集合型)、介護職員などのための保育所、地域コミュニティ広場、障害者のためのグループホームなどのハード面での整備も進める。新たに設置した蔵王福祉の森構想実行委員会で構想を詰めることにしており、この構想を支援するための新たなボランティアの組織「はなみずきの会」も設立、スタートを切った。事業スケジュールは次頁の通りだが、「相当な期間短縮で、構想を実現したい」(相澤所長)としており、事業期間が前倒しになりそうだ。

蔵王福祉の森構想事業計画案とスケジュール

年度 事業計画 事業主体
平成26年4月 特別養護老人ホーム「せせらぎのさと」(30床)開業(小妻坂地区) 社会福祉法人芽吹
平成27年春 健康の館(温泉療法などリゾートに相応しい医療施設) 医療法人リラの会
または社会福祉法人芽吹
平成28年 外部サービス・訪問診療・訪問介護・訪問介護の確立。障害者のための外部サービス体制始動 社会福祉法人芽吹
平成29年 外部サービス・配食サービスの確立  
平成30年 サービス付き高齢者住宅(集合型)開設(50床、小妻坂地区) 他の民間資本
平成30年 総合相談センター開設(福祉サービスのコンシェルジュ) Nコーポレーション
リラの会、芽吹
平成30年 地域包括ケアのスタート  
平成30年 保育所開設(従業員のための施設。小妻坂地区) 社会福祉法人芽吹
平成31年 サービス体制確立(小妻坂地区)、訪問介護・カウンセリング体制の確立(小妻坂地区) 社会福祉法人芽吹
平成31年 地域コミュニティ広場開設(小妻坂地区) 総合相談センター
または社会福祉法人芽吹
平成32年 子育て支援ネットワークの確立(小妻坂地区)障害者のためのグループホーム開設 総合相談センター
または社会福祉法人芽吹
平成33年 地域包括ケアの確立  

構想支えるボランティアの「はなみずきの会」も設立

「蔵王福祉の森構想」に協力しながら下支えしていく組織である「はなみずきの会」が、6月17日に設立、活動を開始した。蔵王町内などに居住する町民などが参加して様々なボランティア活動を行う。会長には、県内ではいち早く、障害者の働く場所を提供し続けている社会福祉法人はらから福祉会理事長の武田元氏が就任、会長を支え副会長に、町内の様々なボランティア活動で実績をあげている川崎清次氏と色摩美津代氏が就任した。7月8日には、支援する会員ら約50人が参加して、蔵王山水苑内の事務所で第1回役員会とボランティア会議を開き、地域の現状と課題、蔵王福祉の森構想、はなみずきの会の設立経緯、今後のボランティア活動などについて意見を交換した。第1回会議の中で、武田会長は「年をとるのがなぜ辛いのか。それは、仕事から離れて役割がなくなる、家族からは頼りにされなくなるからだ。自分がいなくてもよいのではないかという疎外感が出てくる。それは障害者の不安とまったく同じ。どんなに障害度が高くても、高齢者や障害者の役割をしっかり見つけるという役割作りをしていくのがはなみずきの会の使命だ。それを原点にしてやっていきたい」と、会の活動方針を明らかにした。蔵王福祉の森構想の中核施設となる社会福祉法人芽吹が運営する特別養護老人ホーム「せせらぎのさと」内での活動がメインとなるが、同施設が開業する2014年4月までは、蔵王山水苑内の伐採作業や蔵王わくわくファームでの農作業などの実践作業をこなしながら、老人福祉施設のボランティア活動について研修を進めていくことにしている。


原稿元:株式会社仙台経済界 仙台経済界2013年1-2月号 http://www.senkey.co.jp/

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