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この記事は、仙台経済界 2015 年 7-8 月号に掲載された原稿をホームページ用に再編集したものです。

「蔵王福祉の森構想」に共鳴した若手が入職を実現
5月30日にオープンしたばかりの産直市場「蔵王ゆめづくりの会」の前で

5月30日にオープンしたばかりの産直市場「蔵王ゆめづくりの会」の前で、左から鈴木にいなさん、武田繭子さん、佐藤友紀さん。三人とも「待遇も良く、将来、子どもができても産休や休日もきちんと取れるので、これからも若い介護職員が増えてくると思います」

将来性のある職種とされながら介護職員の離職率は高く、多くの介護施設が慢性的な人材不足に悩まされている中で、民間主導のセーフティネット「蔵王福祉の森構想」の理念に共鳴して、この4月から蔵王町遠刈田温泉蔵王山水苑隣りの介護老人保健施設リラの郷(医療法人社団リラの会)で活躍する三人の若い女性たちがいる。蔵王福祉の森構想は、「高齢者も若者も障害のある者もない者も、蔵王町の農業を守りながら、誰しもが最期まで安心して暮らせるまちづくりを目指す」という地方の新しいまちづくりビジョン。佐藤友紀(24)さんは、生まれも育ちも蔵王遠刈田。白石市の障害者施設で就労していたが「次は高齢者とも関わりたいと新しい職場を探していたとき、障害者も高齢者も若者もこの蔵王で豊かに暮らそうというビジョンに共鳴してリラの郷を志望しました。将来とも、この蔵王の施設で働き暮らしていきたい」という。鈴木にいな(23)さんは、東北福祉大学社会福祉学科を卒業後、実家のある蔵王町に住みながら仙台市の障害者就労支援施設に通っていた。「地域の利用者様と触れあえ交流できる地元で働きたかった」ため、リラの郷へ。武田繭子(30)さんも地元蔵王町出身。仙台大学体育学部健康福祉学科を卒業後、白石市の特養ホームと仙台市の老人保健施設を経て、「学んできたことを蔵王の地で生かしたい」と志願した。蔵王福祉の森構想の一つ、福祉と農業を結び付けるべく、23人の農家の方が農業生産組合「蔵王夢づくりの会」を結成し、5月30日に産直市場をオープンした。リラの郷などでは、施設利用者が農園やこの産直市場を生きたリハビリの場の一つと考えている。「ここでは触れあいを大事にしており、利用者様がいつも生き生きとしたお顔をしています」。未来の介護施設の姿がここにある。


原稿元:株式会社仙台経済界 仙台経済界 2015年 7-8 月号 http://www.senkey.co.jp/

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