このインタビューは、仙台経済界2013年5-6月号に掲載された原稿をホームページ用に再編集したものです。
しみず・のぶゆき 1949年東京都生まれ。中央大学経済学部産業経済学科卒業。富士通入社後、1989年、(株)ニッコン入社、取締役就任。同社常務、専務、代表取締役を経て、ニッコン分社後の2007年(株)Nコーポレーション社長。(株)NSコーポレーション取締役会長、みやぎ蔵王別荘協議会会長
蔵王町の人口定住化や観光交流人口の増加をはかるため、新たな福祉・医療・商業施設などを盛り込んだ、「山水会地域福祉エコビレッジ構想」を打ち出し、その第1弾として特別養護老人ホームの建設に踏み切った。これまでの経緯や背景、また新しい街づくりの構想などについて、計画の中心となって進めている、温泉付分譲地「蔵王山水苑」の開発、販売、管理を行っている(株)Nコーポレーションの清水信行社長に、経緯や背景、展望などを聞いた。
計画までの経緯について伺います。
清水社長 1970年に、当社が蔵王町遠刈田小妻坂地区に温泉付き分譲地の蔵王山水苑を開発、分譲を開始しました。約900区画を分譲、540棟を建設してきました。そのうち150世帯の方が定住されております。この蔵王町にお世話になっているのですから、1995年に、高齢者保健福祉推進10ヶ年戦略・ゴールドプランスタートとともに、医療法人山水会を設立、介護老人保健施設、ディサービスやグループホームなどを運営してきましたが、2008年に新体制でリラの会がスタート、ショートステイなども加わりました。こうした中で、山水苑にお住まいの540世帯の方にお聞きしますと、自然も豊かでアクセスも良いが、医療インフラが整備されていないため、なかなか友人に紹介できないという話しを伺いました。高齢者が将来にわたって安心して住める街にするためには、特別養護老人ホームや福祉医療施設、さらに生活利便施設が必要と、今回のエコビレッジ構想に繋がりました。医療福祉施設などの構想は、この山水苑を開発したときから持っておりましたので、16年かけてようやく実現に向けて動き出すことになります。
この計画によって、どのような街づくりを目指しますか。
清水社長 当社開発事業本部にとってはこの分譲地がメインステージですので、居住される住民の方の福祉を充実させ、高齢者を守り、さらに新しい産業を生み出しながら蔵王町全体にとっても必要とされる街にしなければいけません。そしてこの構想を通して、社会に貢献できる地区を拡大していきたいと思っています。
具体的には。
清水社長 8月に着工予定の特別養護老人ホームのほか、福祉、医療施設、生活利便施設、さらに観光客も立ち寄っていただけるような商業施設なども地元有力企業の協力で計画し、豊かな自然と温泉など蔵王の魅力を生かしたエリアにします。また将来的には、サービス付き高齢者住宅やバリアフリーの一般住宅なども計画に入っております。蔵王町は観光と農業で栄えてきましたが、近年観光客が減り、農業も高齢化と後継者問題で厳しい局面にあります。今回の計画推進で、疲弊した観光を活性化し、農業生産物の出口も作りながら、福祉産業としての雇用も拡大し、新しい蔵王リゾートの復活を目指します。
行政へは、どのような要望などがありますか。
清水社長 東京からの観光地は、伊豆、房総、那須、軽井沢、八ヶ岳といった、半径約160kmが対象となります。蔵王町は300kmと遠く、しかも東北は寂しい感じがします。それなりに強烈な魅力を持たないと、なかなか来てくれません。しかし素晴らしい自然と温泉、そして食材などは大きな魅力です。ぜひ、行政でしかできない部分をしっかりと支援してほしいと思います。
2014年4月開設予定の特別養護老人ホーム
せせらぎのさと蔵王
原稿元:株式会社仙台経済界 仙台経済界2013年5-6月号 http://www.senkey.co.jp/